こうして私の20日間のギリシア旅行は、無事に楽しく終えることができた。私はこの旅で、大げさかもしれないが生まれて初めて“自由”というものを体験として感じることができたように思う。朝から晩まで一人で、何をやってもいいし、どこに行ってもいい。明日もあさってもしばらくはそんな生活が続く・・・。考えてみれば、こんなことって今までの人生にはなかった。仕事があったし、その前は学校があった。学校が休みの時だって、家族がいたし友達がいたし、宿題とか何かしらやらなければならないことが常にあった。
でも、この一人旅の期間は違った。時々やらなければいけないことがあったけど、基本的には私を縛るものは何もない。短い期間だったけど、生まれて初めて自由というものを味わった気がしたのだ。
そして、それと同時に寂しさや大変さも味わった。見知らぬ土地で、普段見慣れない人たちに囲まれて一人でいることがとても心細いということも痛いほど味わった。私を縛るものが何もないけど、私の身を守るのも自分自身だった。ツアー旅行ではないので、だれも責任なんかとってくれない。はっきり言って、これが苦痛の人はかなりの苦痛になるだろう。だから、個人旅行は向き不向きもあるとも思った。
私は幸いなことに、普段からどちらかというと好奇心も強く冒険心も強いので、このような状況を楽しむことができたし、人懐こいところもあるので、たくさんの人と友達になることもできた。私には苦痛よりも、楽しみや得るもののほうが大きかったようだ。
最近(2006年)、NHKの『世界遺産』という番組で、クロアチアのドブロブニクという町の特集を見た。ドブロブニクは世界遺産に登録されているアドリア海に面した美しい町だ。1990年代の旧ユーゴスラビアの内戦で、その美しい町並みが破壊されたが、内戦後驚くのほどの速さで修復され、現在再び美しい町並みを取り戻しつつあるという。
私は今一番行ってみたい町はドブロブニクだったので、この番組を楽しみにしていて、ビデオに録画してまで見た。実は2006年の6月に旅行に行くはずだったのだが、私がその直前に妊娠してしまい、しばらくは叶わぬ夢となってしまった憧れの町なのである。
その番組の中で、ドブロブニクに住んでいる男の人が言っていた言葉がある。「自由とは自分と向き合うことだ」という一言。内戦という過酷な体験をし、親しい人や自分の町を破壊され、辛い思いをしてきた人が言ったその言葉はとても重みがあり、しかもそれを言う彼の穏やかな表情は感動的でもあった。
私は、彼のこの言葉を聞いた時、ふと自分のギリシア旅行のことを思い出した。彼らの体験に比べたら私の体験なんて甘いものだと思うが、私はあの旅行で私なりに自由というものを体験したのではないかと。私はあの20日間、自分と向き合うことができた。これから転職し看護師になろうとしていた私にとって、あの20日間は必要なものだったのだ。
そして、自由とは自分と向き合うことであり、責任を伴うものだということも体験として学ぶことができたように思う。そう、自由とは何をやってもいいということではなく、自分自身で考え、自分自身で責任を取れる範囲を少しずつ広げていくようなことなのかもしれない。自分で可能性を広げるチャンスがあること、それが自由なんではないかと私は思った。
人は経験を通してしか学ぶことができない、とはよく言われるが、私はギリシア旅行を通して、私の小さな世界の中で理解できる範囲で自由ということを学んだ気がするのだった。
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