ところで、ギリシア神話の中で『オイディプス王』という有名な話がある。知っている人も多いとは思うがその話を要約すると、デルフィの近くにテーベという町があり、ギリシア神話の中でテーベの王ライオスはデルフィの神託で、“わが子に殺される”という神託を受けた。それを恐れた王は、生まれた子を家臣に命じ、コリントスとの国境の山中に捨てさせた。
しかし、結局その子は羊飼いに拾われ、その後コリントス王の下で養育された。その子がオイディプスである。成長するにつれ、彼は自分の出生に疑問を持ち、アポロンの神託を求めた。
すると、その神託で“お前は故郷に帰ってはならぬ。お前は父を殺し、母を娶るであろう”と告げられるのだ。アポロンの神託は絶対であったので、オイディプスは自分の故郷であると思っていたコリントスには帰らず、その反対のテーベへ向かう道へと進んでしまうのだ。
その途中、彼は山あいの三叉路で馬車に乗った老人に出会った。狭い道で口論になり、オイディプスはその老人を馬車ごと谷底へ突き落とし、殺してしまったのだ。この老人が実はオイディプスの実父であるテーベの王ライオスであったのだ。
こうして、“父を殺す”という神託は実現。この時まだ、オイディプス自身はそのことに気づいておらず、テーベに向かう。この頃テーベでは、怪物スフィンクスが現れ、旅人に難題を出し、答えられないと旅人を食い殺し、テーベの人を悩ませていた。そこにオイディプスが通りかかり、見事この怪物を退治し、彼はテーベの王として迎えられるのだ。
そして、王妃イカオステと結婚するのだが、これがオイディプスの実の母であったのだ。こうして“母を娶る”という神託も実現してしまう。
その後、結局羊飼いの証言で真実がわかり、その真実を知った王妃イカオステは自殺し、オイディプスは自ら両目をえぐって盲目となって、放浪の旅に出る、という悲惨な話なのである。
話は長くなってしまったが、実はこのオイディプスが実の父を殺した伝説の三叉路というのが、テーベを抜けてデルフィにいたる山あいの自動車道にあるというのだ。私の部屋のバルコニーから見える山あいの谷をみながら、“オイディプス王の舞台となったのはあの辺かな〜”などと考え、ギリシア神話の世界を楽しんだのであった。
ちなみに、ギリシアに行く前には、ぜひともギリシア神話を読んでいくとギリシアのことをより楽しめると思う。中でも私は、阿刀田高氏の『ギリシア神話を知っていますか』がお勧めである。有名なギリシア神話をとっつきやすく、面白おかしく解説してくれ、ちょっと勉強したい人にはもってこいと思うのだ。
阿刀田氏は他にも、『アラビアンナイトを楽しむために』とか『ホメロスを楽しむために』など、教養として知っていたほうが良いだろうと思うものを阿刀田氏らしい、面白くてわかりやすい文章で書いてくれているので、ちょっとかじりたい人にはお勧めである。
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