デロス島に着くと、すぐ私は帰りの船の時刻をチェックした。私が行ったのは3月のオフシーズンだったので、当然観光客はまばらであった。ガイドブックには、ミコノス島に戻る最終の船は15時と書いてあったが、うっかり最終の船に乗り遅れ、こんな遺跡しかない寂しい小さな島にたった一人残されたら大変だと思い、早めに船着場に戻ってこようと思ったのだ。
時刻表を確認し、それから島のあちこちをぶらぶらしてみることにした。デロス島では、ライオン像が有名で、何頭もの同じ格好をしたライオン像がいくつも並んでいる写真をよくガイドブックなどで見かける。たしか私が行った当時は、このライオン像はまだ外にそのまま置かれていたような気がする。写真を撮らなかったので定かではないのだが。現在ではデロス島内にある博物館の中に移されたらしく、外にはレプリカが置かれているらしい。なるほど立派なライオン像なので風化しないようにしているのだろう。
このデロス島もギリシア神話の舞台になっているらしく、浮気癖のある大神ゼウスが不倫相手の女神レトに身ごもらせ、ゼウスの妻のヘラの目を盗んでこの島でお産をした。そしてこの島にある湖をお産に使ったといい、聖なる湖という場所もあった。1924年にマラリア蚊が発生したため埋められてしまい、現在は湖自体なくなっている。
この時生まれたのが、月の女神アルテミスと先に述べた太陽神アポロの双子なのである。そういう話をガイドブックで読んだりした後遺跡をみると、本当にはるか昔、ここには神々が住んでいたのではないかと思うほどギリシアの遺跡は現実離れしている気がした。
他にも崩れた遺跡の中に、“クレオパトラの家”などと書いてあるところがあるのだ。これなども「え〜、昔ここにクレオパトラが住んでいたの?!」なんて驚いてしまったのだが、ガイドブックを見たら、“古代の富豪たちの邸宅”と書いてあった。“勝手にクレオパトラの家”なんて呼んでいたのだろうか。
この島に、キントス山という標高110mの山が小さな島の中にそびえたっている。山と言っても日本のように緑が生い茂るわけではなく、背の低い草木ばかりで岩や石がごろごろしたハゲ山のようだ。そもそもデロス島全体が、石と岩と遺跡がごろごろしているような乾いた島なのだ。そんな中にいかにも南欧っぽい乾いた感じのとがった山があった。
他に何も高い建物がないので、そこから見下ろす遺跡群やエーゲ海、近隣の島々の眺めは最高だというので、てくてく登ってみた。
小さな山だと思って、何の気なしに登ったら、この日はものすごい強風で、登るにつれ風はますます強くなってきて、恐いくらいだった。木が生えていないので、風をさえぎるようなものは何もない。風が直接吹き付けてくる。それに目の前をさえぎるものも何もないので、自分が登ってきた下のほうが丸見えなのもさらに恐怖心を強くした。
頂上へ着く頃には、風から体をささえきれないのではないかと思い、岩にしがみつくようにして、やっとの思いで景色を見渡しているような感じだった。
ゆっくり堪能するまでもなく、風で吹き飛ばされないうちにさっさと降りてくることにした。観光客がほとんどいないこの時期、山から私が転がり落ちたって、誰も気づいてくれない可能性もあったからだ。
さて、遺跡や山を一通り見た後、まだ時間はあったのだが、どうにも帰りの船に乗り遅れるのが恐くて、なるべく港の近くにいることにした。一人この島に取り残されるのが本当に恐かったのだ。それに今日はアテネにも帰らなくてはならない。最終の船を待たずに早めに船に乗り、ミコノス島に帰ることにした。
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