トリカラへの長距離バスは、ターミナルBのリオシオン・ターミナルから出発する。リオシオン・ターミナルに行くため、朝6時ちょっと前にホテルを出た。
事前に、リオシオン・バスターミナルへ行くための路線バスの停留所を確認しておいたので、無事に行く着くはずだったが、路線バスに乗ったのはいいものの、終点だと思っていたリオシオン・バスターミナルは終点ではなく、どうやら間違えてしまったらしい。 バスに乗っていた親切なおじさんに色々と教えてもらい、なんとかリオシオン・バスターミナルにたどり着くことができた。
予定なら7時のトリカラ行きのバスに乗るつもりだったのだが、このようなハプニングがあったため乗り遅れてしまい、8時30分のトリカラ行きに乗ることになった。
こんなことがあったものの、アテネからトリカラに向かうバスの景色は、本当に美しく、感動的なものだった。それまでの苦労なんて、すべて吹っ飛ぶくらいのものだったのだ。私がギリシアに行った中で一番心に残っている景色は、もしかしたらこれなのではないかというくらいきれいだったのだ。
日本ほど緑が生い茂ってはいないけど、遠くのごつごつした岩山と手前には緑の草地が広がり、空は朝早く澄んだ空気に、朝の月がうっすらと出ていたところがあった。その時の私の心には、この景色がこの世のものとは思えないくらい美しく、感動的なものとしてせまってきたのだ。一人旅で心が少し繊細になっていたのかもしれない。誰ともこの美しい景色を分け合うことはできなかったが、その分しっかりと心に染み入ってきたような気がする。
余談だが、人間は何かを記憶する時に五感をフルに使うと記憶に残りやすいというのを聞いたことがある。例えば、英語の文章を覚える時は、ただ読んで覚えるという視覚を使っただけの記憶方法よりも、CDで文章を聞く聴覚を使う方法もプラスすると、よりその文章が覚えやすくなるというものだ。実際、私はよくこの方法で英語の勉強をしていたが、確実にこの記憶方法のほうがより記憶に残っているのだ(英語の学習方法は、個人差があるので、一概には言えないだろうが・・・)。
それと同じ様に、幼い頃の記憶なども、何かの匂いと一緒に記憶に残っている情景などは、その匂いを嗅いだだけでもその時の情景を思い出す、といった経験がないだろうか。やはり視覚などの一つの感覚器官を使うよりも、より多くの感覚器官を使ったほうが人間記憶に残りやすいのかもしれない。
それとはまた別なことなのかもしれないが、私はこのトリカラ行きのバスに乗っていたとき、ウオークマンで音楽を聞いていた。一人旅なので暇な時間が多いだろうと思い、出発前にMDにあらゆる分野の音楽を録音しておいて、持ってきていたのだ。
私は洋楽好きだったので、洋楽を中心としたMDをたくさん持っていった。特に外国なら現地の人などと音楽の話などで盛り上がるかもしれないので、世界的に売れているような洋楽のほうがいいという思いもあった。
一応、当時日本で売れていた邦楽も持っていったが、それはほんのわずか。ところが、これは行ってみて実感したことなのだが、私の場合、日本から遠く離れた場所で一人になると、日本語や日本が恋しくなるらしく、ほとんど日本の曲ばかり聞いていたのだ。こんなことなら、もっと日本の曲をもって来るべきだったと後悔したがもう遅かった。
このトリカラ行きのバスの中でも、日本の曲を聞いていた。その美しい景色を見ながら、流れていた曲は、SMAPの“夜空ノムコウ”と、当時CMで流れていたカローラの曲。ユースケサンタマリアと篠原ともえがCMで歌っていた曲である(私はなぜその曲を持っていったのだろう?)。“♪青空が〜青いから〜、はじめての〜キスをしよう〜♪”とかなんとかいうほのぼのした曲だ。
なぜかこの2曲が、この時の景色と妙にマッチし、私の記憶に強烈に残っているのだ。今でもこの2曲を聞くと、切なくてじんわりと涙が浮かんでくるような気がする。またギリシアに行きたくて仕方なくなってしまうのだ。音楽があることで、人生ってより味のあるものになるってあらためて確認した。
話はそれたが、こうして、窓からの景色を楽しんでいるうちに、トリカラに着いた。トリカラでは、カランバカ行きのバス停がわからず少々焦ったが、地元のかっこいいお兄さんに(ギリシアの人はかっこいいお兄さんが多かった★)教えてもらい、また無事にカランバカ行きのバスに乗ることができた。
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